2021年3月絵本コンテストでの木下財団賞の作品

子どもの育成・子育て支援を行うNPO法人幼年教育・子育て支援推進機構が毎年行っている「第21回創作童話・絵本・デジタル絵本コンテスト」の絵本部門にて、以下の作品に木下財団賞を贈らせていただきました。詳細は幼年教育・子育て支援推進機構のホームページをご覧ください。

創作絵本 群馬県在住の市川孝子さんの作品 「おたすけたんてい アリルレロ」です。

「おたすけたんてい アリルレロ」講評

最初にありのたんていアリルレロが登場、ことば遊びをまじえた名前でなんだか面白そうと思わせる書き出しが、まず上手です。スーツを着込んで、朝のコーヒーをすすり…、アリルレロの姿を目に浮かぶように立ち上がらせたところで、助けを求めてありの夫婦が登場します。これで舞台の設定は出来上がり、あとはストーリーが展開していくわけですが、甘いお菓子好きの坊やの隠し事、やはり甘いもの好きの子どものありの冒険と失敗、探偵アリルレロの策略、子どものありの無事救出、とお話の山がいくつか作られていて楽しめます。お話をつくるとき、大切なことはいくつかありますが、その一つに、どのようにほんとうの出来事のように見せるか、ということがあります。例えば、家の中に入り込んだ時は、どこからどのように入ったのかとか、物の置かれているところなど、具体的に書かれていればいるほど、本当っぽくなって、面白さが出ます。ただ「へやの押し入れ」というより、誰のへやの、どこのへやの押入れか、ただ「かびんの
かげて」というより、テーブルの上の、と言った方が、リアルさが出るということです。そのあたりに注意されると、さらによくなると思います。