農福連携でみんなが得するモデルを実現

JR宇都宮線白岡駅から徒歩数分でNPO法人めぐみの里へ到着。そこから車で10分。めぐみの里さんが借りているネギ畑に到着しました。ネギの香り漂う、広大なネギ畑でした。

ネギがベスト

理事長の山田浩太さんが福祉のために農業をやりたいと思い、何がいいのか考え、行き着いたのがネギでした。理由は、「年中作れる」「機械でやれる」「収益も安定している」「毎日、毎年、同じ作業をすることで利用者さんは成長できる」から。

めざすは農福連携

白岡は梨の産地ですが、最近では農家の高齢化、後継者不足から梨農家を辞める方もいらっしゃいます。すると耕作放棄地ができてしまうので、その土地を借りてネギ畑にしたそうです。ネギなら年中作れて収入も安定しているし、同じ作業をすることで利用者さんは仕事に慣れ成長していくことができる。農業と福祉をマッチングすることで、利用者さんに社会の一員として働くことに充実感をおぼえてもらったり、生活リズムを安定させたり、ここでの訓練を経てその先の就労を目指したりして、利用者さんの自立を目指します。実際、平成28年には4月と6月にスーパーのバックヤードと物流会社へと就職した仲間がいました。

現在、登録している利用者さんは23名。毎日10名ほどがハウスや畑で働いています。ハウス内では収穫したネギを、ネギの根葉切り樹にセットして根を切り落とし、それを束にして量りにかけ、次の作業台につないでいく。隣の作業台では、土のついた皮をはがす作業、出荷用に小分けに束ねるなど、流れ作業がきちんと行われていました。今まではネギの根葉切り機が1台しかなかったので、ここの作業に時間がかかってしまうと、後の工程を待たせてしまうことが多々ありました。今回、助成金により根葉切り機を1台増やせたため、作業効率が上がり生産性につながり、今では1日に付き、青ネギは250~600キロ、白ネギは200キロほどの生産が可能になりました。

農業と福祉、福祉と地域をつなげる

「利用者さんの工賃は時給100円、一日にすると600円、月額1万3、4千円です。工賃を上げるためにもネギの生産を増やし販路を広げていきたい。今年は工賃を上げる予定だったが台風の影響を受けてしまって叶わなかった」と語る施設長の中口さん。「今後、高齢化や後継者不足の課題を抱える梨農家とも連携すれば、コミュニティと福祉の発展に貢献できることがあるかもしれない」と語ってくれました。